職場のコミュニケーション不足がメンタル不調につながる現状
職場のコミュニケーション不足は、従業員の孤立感やストレスを増大させ、メンタル不調につながる可能性があります。最初は単なる共有ミスや、勘違い、言い間違いだったことが、コミュニケーション不足が続くことにより、人間関係の悪化を招き、仕事への意欲低下や離職のリスクも高める場合があります。
コミュニケーションが不足すると、社員同士のつながりが希薄になり、孤立感や「自分だけが取り残されている」という疎外感を感じやすくなります。
また、他の社員に相談しにくい環境では、仕事の悩みや困難を一人で抱え込み、ストレスや不安が増大します。
必要な情報が正確に伝わらず、誤解や不信感が生まれ、不要なトラブルの原因となることがあります。
日々の会話が少ないと、自分の感情を言葉にすることが難しくなり、「なんとなく気分が晴れない」といった状態が続くことがあります。
企業としては、定期的なミーティングを設定したり、個別の面談、社内で従業員が対話をできる機会を提供するなどのことを実施してみてもよいかもしれません。
傾聴力とは?
「傾聴力」とは、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャースが提唱したもので、相手を深く理解するための能力を指します。相手の話を真摯に受け止め、その背景にある価値観や感情を深く理解しようとする能力です。
ロジャーズは、自らがカウンセリングを行った多くの事例を分析し、カウンセリングが有効であった事例に共通していた、聴く側の3要素として「共感的理解」、「無条件の肯定的関心」、「自己一致」をあげ、これらの人間尊重の態度に基づくカウンセリングを提唱しました。
①共感的理解
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。
②無条件の肯定的関心
相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。そのことによって、話し手は安心して話ができる。
③自己一致
聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認する。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反する。
傾聴とは、単に言葉を聞くだけでなく、相手の表情や声のトーンなども含めて、相手の本音や本当に伝えたいことを引き出す力であり、コミュニケーションや人間関係の構築において非常に重要なスキルです。

部下や後輩との関係における傾聴
部下や後輩に、「ちょっと話を聞いてほしいんです」と言われたとき、どのような対応をしていますか?
- 話が長いとイライラして、話を遮って結論を出してしまう。
- メールの対応をしながら話を聞いたり、途中で電話に出て話を中断させる。
- 感情に寄り添わず、正論を突き付ける。
「きく」という言葉を表す漢字は、複数の意味があります。
- 聴く…相手が何を語り表現しようとしているのかを、注意深く、集中して聴くこと
- 聞く…相手の話や外界から聞こえてくる音を受身的に聞くこと
- 訊く…相手が語りたくないことを問いただし、尋問するように訊くこと
傾聴には「聴」という漢字が使われており、誠心誠意、集中して相手の語りや表現を聴くことを表しています。
部下や後輩の話を聴くときにポイントとなることは、先入観を持たないでフラットに聴くことです。
人は自分の話を聴いてくれる相手に好感を持つことが多いと言われています。こちらが相手の話に興味を持って聴いているという姿勢を見せることで、信頼関係を築きやすくなります。
また、部下の話を聴くことでメンタル不調の早期発見にも繋がります。実はあまり寝られていない、食欲がない、特定の状況でパニックになってしまうなど、人には言いにくいことを一人で抱え込んでいる可能性もあります。安心感を得ることにより、より本音の部分を話してくれるかもしれません。
傾聴のポイント
①相談環境を整える
まず、部下が安心して話すことができる「時間」と「場所」を整えることが大切です。どのような内容の話かを確認し、すぐに話を聴くことができない状況の時は、話を聴く「時間」と「場所」を確保して部下に伝えましょう。その際、話の内容が周囲の人に聞こえてしまうような場所は避けましょう。また、話を聴くあなた自身に心の余裕がないと、傾聴することは難しくなりますので、心に余裕を持って臨める時間を設定することも大切です。
②非言語的メッセージを意識する
聴き手から積極的な関心が向けられることで、話し手は安心して自分の話をすることができるようになります。たとえば、表情や視線は相手に向いているか?姿勢や動作は落ち着いているでしょうか。腕組みや脚組みなどをしていないでしょうか。声のトーンは落ち着いているでしょうか。話すスピードが速くなっていないでしょうか。
積極的な関心が向けられているかどうかは、表情や視線、姿勢、動作、声など、非言語的メッセージによっても伝わっていますので、はじめのうちは、自分がどのような非言語的メッセージを発しているのかに意識を向けてみるといいかもしれません。
③「聴く」と「話す」割合が8:2
傾聴は相手に話しやすいと感じさせるためのコミュニケーション技法です。相手の話に耳を傾け、本音を引き出すことが求められます。
そのため、聴くことが8割、話すことが2割というバランスが理想です。あくまでも相手の話がメインであるため、口を挟んだり、話を変えたりせず、聴き手は理解を深めましょう。
また、人は自分の話を聴いてくれる相手に好感を抱くと言われています。相手の言葉を一旦受け止め、理解をする姿勢を見せるとより信頼関係が築きやすくなるかもしれません。
⑤相手の話に興味があることを示す
相槌や笑顔などのリアクションで関心を示すこと、相手が話した内容に質問を投げかけること、そして相手の話から「話題を吸収する」という姿勢で臨むことが効果的です。具体的には、積極的な傾聴を意識し、相手に敬意と誠実さを持って接することで、相手も心を開きやすくなり、より深い人間関係を築くことができます。また、相手が話した内容に対して、「そのあとどうなったの?」「そのときどう思ったの?」など質問をすることもよいでしょう。
まとめ
上司の傾聴力は、職場の安心感と信頼関係を築く土台です。レイジースタイルでは、企業のメンタルヘルス対策を多角的に支援し、傾聴をはじめとしたコミュニケーション改善の研修や従業員様との面談、相談窓口の設置などを通じて、働く人の心の健康を守るお手伝いをしています。
「職場のコミュニケーションを改善したい」「従業員の本音を把握したい」「離職を防ぎたい」とお考えの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

